皆さん、おはようございます。黒須俊隆です。通告にもとづき一般質問を行います。

はじめに、国民保護法制(有事関連法)についてお尋ねします。
現在、国会で国民保護法案を含む有事関連7法案と3条例が審議されています。先月5月20日に衆議院を通過して現在参議院に送られています。この法案は昨年6月に成立した武力攻撃事態法など有事法を具体化したものです。これら有事法制は日本を「戦争のできる国」にするための法整備であり、また、アメリカのための戦争支援法という側面が大変強い危険なものです。例えば平時に自衛隊がアメリカ軍に弾薬や物資を提供することも可能になります。これは国会も通さずに国民の血税を米軍に提供することを可能にするということです。また、物資売渡要請や土地・家屋の提供を拒んだ場合は強制的に収容され、物資保管命令を拒めば従業員使用者ともに重い罰則がある。このように戦後日本のあり方を大きく変える重要法案にもかかわらず、ほとんど議論もされず、年金国会のどさくさのなかで衆議院を通過しています。願わくば参議院で廃案になることを祈るのみです。
 有事関連7法案のなかでもとくに国民の基本的人権にとって重大な法案が「国民保護法案」です。文字通り国民を保護しようという法律ならどうどうと国民に解説すればいいのに、こっそり通そうとしているのは、この間のイラクでの人質事件で明らかなように「日本政府は国民を保護しない」ということです。つまりこの国民保護法制も国民を保護することを目的としたものではなく、国民を統制する側面の強いものであると言わざるをえません。この法案全体の問題については国政の問題ですので国会の審議を待ちたいと思います。ここでは地方自治体に関連する内容についてご質問致します。この法案では、例えば3条で「国・地方公共団体の責務」など「地方公共団体」に対する様々な規定がされています。しかしながら例えば有事の避難の際、「国民保護の措置」は非現実的であります。鳥取県の3つの村の住民2万6千人の避難にさえ11日間もかかるとの試算結果がでています。また、国会審議でも「100万人をどのように避難させるのか」「避難民の食料はどうするのか」という問いに「都道府県知事が指示をする」そして「市町村が面倒をみる」という答弁が繰り返されました。
そこで3点お尋ねします。
 @政府からの情報提供・説明はどうなっているのか。
 A自治体の戦争協力をどのように考えるか。
 B実際に協力要請があった場合の情報公開はどうするのか。
以上3点お願いします。
 
総務課長 国民の保護のための法制の趣旨につきましては、平成15年11月25日付け総計第314号で千葉県総合企画部長から平成15年11月21日都道府県を対象に開催されました国民保護法制に関する説明会における資料をいただいているところでございます。また要旨の内容につきましては、総務省自治行政局自治政策課長から市町村の意見をふまえつつ県としての意見を提出するよう求められましたとのことから県からの意見聴取がございましたので、関係各課に意見照会をいたしまして、本町として地域住民の生命身体及び財産を保護する使命からの意見を提出したところでございます。平成16年1月9日、千葉県総合企画部総合計画課によります国民保護法制に関する説明会の開催がございましたので担当者を出席させております。その説明会の内容に関しましては、平成15年12月1日内閣総理大臣官邸で行われました国民保護のための法制に関する都道府県知事との意見交換会、議事要旨の説明であります。平成16年2月10日付け総計第440号で千葉県総合企画部を通じまして内閣官房内閣参事官等から各市町村都道府県からの意見照会に対する該当の送付がありました。その中に自治体の協力、私有財産に対する協力等の記載がございます。いずれにいたしましても法案成立後は国及び県を通じまして市町村においても国民保護計画の作成などを行うこととなることからこれまで以上に双方向の情報提供が行われるものと考えております。
 次に有事の際に、自治体に対する施設の協力、病院等の協力でございますが、国民保護法制においては、地方自治体は地域住民の生命身体及び財産を保護する使命を有していることから有事の際には自然災害と同じように住民の避難誘導、避難場所の確保等を示されております。また、内閣官房・内閣参事官等から送付のありました国民保護のための法制の要旨に関する主な意見の該当については、その要旨の中に関連する項目がございまして、その内容は医療関係者に対する医療の提供の指示について罰則を設けることとしていないのはなぜかという問いに対しましての回答は国民の権利の制限については武力攻撃事態対処法第3条において武力攻撃事態等に対処するため必要最小限のものであり、公正かつ適正な手続きのもとに行われなければならないとされております。こうした理念をふまえまして、国民保護法制においては国民の権利及び義務に関する処置は国民の生命・身体等を保護するためやむを得ない場合に限定して、その手続きについてもあらかじめ要請をしたり、損失を補償したりするなど、権利の制限を最小限度にすることとされています。医療の提供の指示を受けた医療関係者がこれに従えない場合については医療が高度がかつ専門的な技能であることから、強制的に行わせたとしても十分な効果が期待できず、かえって適切な医療提供に支障を及ぼしかねないおそれがあると考えられることから当該医療関係者に罰則を持っても強制することは考えていませんという回答がされています。
 次に協力要請があった場合の情報公開でありますが、内閣官房・内閣参事官等から送付のありました国民保護のための法制の要旨に関する主な意見に対する該当について、その要旨の中に関係する項目がございます。その内容は国から地方公共団体に必要な情報が迅速かつ鞭撻されるようにするため情報を一元的に収集し、これを関係機関がリアルタイムに共有できるような体制の整備が必要ではないかという問いに対しましての回答は、武力攻撃事態等に対して国民の保護のための処置を総合的に推進するためには、武力攻撃事態等対策本部に情報を一元的に集約する必要があると考えられています。国民保護法制においては武力攻撃または武力攻撃災害の状況など、国民に対する情報の提供についての提供についての規定を盛り込むこととされており、武力攻撃事態等への対処全般にわたり適切な情報の提供に努めることとしております。また、国と地方公共団体が必要な情報を共有しながら連絡協力する体制についても今後検討を深めてまいりますと回答されています。このことからご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。

(再質問)まだ、現在国会審議中ということで予断を許さない状況ですが、、この法律に先立つ形で有事法制の整備が進んでまいりました。この法律と性格を一にする法律として周辺事態法というものがありました。この法律は97年にできた日米防衛協力の指針、いわゆる新ガイドラインの関連法として、99年に成立しました。この法律の中では9条で自治体の戦争協力について規定されています。このときはあくまでも協力要請と言うことでした。今回は罰則を伴った強制が含まれることになっています。今回の国民保護法制についても、先程総務省からのアンケートに町民の安全を第一にと答えたとご答弁がありましたが、この99年に成立した周辺事態法に関しての戦争協力について大網白里町としては実際の運用をどうするのかということを話し合われたでしょうか。お尋ねします。

(総務課長)ただいまの周辺事態法施行時に市町村に対する周知は、当時の資料を調査いたしましたところ、意見聴取並びに説明会等の開催はなかったと思われます。次に病院が入院患者優先ではなくアメリカ軍の専用となることへの懐疑等もあったかというご指摘ではないかと思うんですが、基本的には住民を第一優先とする趣旨から戦争に関わる協力、実際には協議も検討もされてないわけでございます。国と県を通じてもそのような指導はなかったと理解しています。

(再々質問)ここで問題はいかに町民の安全を守る立場で、実際に国の協力要請が来たときに、仮に町との考え方が違った場合に断ることができるのかどうかということです。我が町には軍事基地も大きな港湾や空港もないのでそれほど切実な問題ではないかもしれません。しかしながら米軍基地がある町、自衛隊基地がある町、また指定病院がある町などそういうところでは切実な問題なわけで、99年の周辺事態法のときは、多くの自治体で反対宣言がされました。周辺事態法では協力要請だったわけですが、これからどうなるかわからない。実際に、これは自治体に対するものではないですが、運送業者や医療従事者に対して厳しい罰則をもって強制されることが予想されるわけです。例えば「大網病院を使わせろ」という協力要請があったときに、大網病院には入院患者がたくさんいるわけだし、それぞれ医療従事者も必要な業務に追われているなかで戦争協力を断ることができるのかどうかです。平時には断れますと言っても、有事に断ることができるのかどうかということが一番の問題です。そのためには常日頃からそういうものを想定して、町としては「戦争よりも町民の安全が優先される」ということをはっきりと明言していただきたいがいかがですか。

(町長)町の姿勢に関する質問だというふうに受け止めておりますので私から答弁させて頂きます。ただいま病院を例に取られましたけれども、私は町長として住民が第一に優先権があるだろうと、これは町長として守らなければいけない考えだと認識しております。ただそういう中で国として、また我々住民としてなさなければならないことということがあろうかと思っておりますけれども、このように有事の際はいろいろな事態が想定されるわけでございますけれども、日本には第9条・平和憲法があるわけですから、この解釈の範囲の中でやはり最優先に地元住民を守っていくことが私の使命であるというふうに考えております。

(黒須)ありがとうございました。平和憲法の趣旨に乗っ取って、町民の生命・財産を第一に考えるという答弁だったと思います。是非よろしくお願い致します。

 続きまして、平和行政についてお尋ねします。
 我が町では1986年に非核平和都市宣言をしています。「核兵器廃絶・非核3原則の完全実施・世界平和を訴え、この人類共通の大義に向かって不断の努力を続ける決意」を宣言しています。県内では千葉県を含む81自治体すべてが非核宣言をしております。しかしながら平和行政の施策に関しては各自治体によって温度差があります。市川市や佐倉市・浦安市などでは平和行政や非核平和事業に関する条例を制定して条例に基づき施策を行っています。我が町でも宣言塔の設置、ピースバスツアーの実施、戦争体験集の出版等をされていることは大変敬意を表するものであります。そこで3点ほどご質問します。

@非核平和都市宣言を実効性あるものとするための平和事業について、より一層のご努力をお願いしたい。資料展示、映画会、被爆体験や戦争体験を聞く会、平和教育、広島・長崎への派遣、その他様々な平和事業が考えられます。そしてその際、例えば千葉市は、有名歌手やバンドを呼んで平和コンサートと称していますが、このようなお金をかけるだけの企画ではなく、平和を創るために本当に実行性のあることは何だろうかと町と町民が一緒に作り上げていく平和企画に取り組んでいただきたい。

A来年の8月で戦後60年になります。戦後60年というと、いかに日本人の寿命が延びているとはいっても多くの人が直接戦争の記憶がない世代になり、戦争体験や反戦意識がどんどん風化している現状があります。
 館山市では今年4月から館山海軍航空隊赤山地下壕の公開を始めました。この事業は、平和・学習拠点形成によるまちづくりの推進に関する調査研究として、館山市における戦争遺跡保存活用方策に関する調査研究を実施した結果によります。戦争遺跡を貴重な歴史遺産として後世に伝えるために、保存と活用をはじめたわけです。
 我が町でも郷土の戦争遺跡、東金や茂原などの近隣市町村も含んだ調査・研究を行い、まちづくりや平和教育に積極的に生かして欲しいと思いますがいかがでしょうか。これが二点目です。

B三点目です。来年8月で、ヒロシマ・ナガサキは60年目の夏を迎えます。一点目の質問とも重なりますが、来年の被爆60周年に、小中学生を広島・長崎に派遣してはどうでしょうか。友好の翼事業も今年は行われるようですが、ぜひ来年はヒロシマまたはナガサキに小・中学生を派遣することを提案しますがいかがでしょうか。以上3点お願いします。

(秘書広報課長)非核平和宣言を実効性のあるものにするために一層の努力をということですが、これにつきまして、わが国は1945年の8月、一瞬にして二つの都市を壊滅させたヒロシマ・ナガサキへの原爆投下から来年度で60周年を迎えることになります。本町でも昭和61年3月に非核平和都市宣言を議会で採択して以来、戦争の悲惨さと平和の尊さを住民の方々に訴えていこうと様々な事業を展開してまいりました。現在は例年8月に実施している原爆被爆友愛会と戦時下の郷土を考える会の町民主催による資料展の開催に際し後援の立場としてご協力をさせていただいております。またこの団体と協議の上、貴重な写真を拡大、パネル化やその保存・保管・PRポスターの補助もさせていただいております。また後世の方々に平和の尊さを伝えるために平成15年3月に住民の方々から募集しました戦争の経験や原爆被爆体験をまとめまして一冊の本として発行してきたところでございます。ご質問に関しまして、平成12年度に日本非核宣言自治体協議会に加入しておりますので、加入市町村における住民自らの企画実施の動向や問題点などを調査しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に二点目の戦争体験や反戦意識が風化していく中で郷土の戦争遺跡の調査研究を行い、まちづくりや平和教育に積極的に生かしていって欲しいということでございますが、郷土の戦争遺跡に関しましては、先程申しました資料展の中で近隣市町村の防空監視体制施設や飛行場、日立航空機大網工場、防空壕、忠魂碑などのパネルも展示いただき、ご来場の方々にご覧いただいているかと存じます。また、これらの写真の一部を借用し、戦争体験記に掲載するとともに原稿提供者に了解を得ながらわかりやすい文字、言い回しに修正させていただき平和教育の一役となるよう各学校に配布させて頂いたところでございます。今後も住民有志の方々とお話をしながら郷土の戦争遺跡に限らず広い範囲で調査研究を行い、まちづくりや平和教育に生かしていきたいと考えています。
 三点目の被爆60周年にあたり小中学生をヒロシマ・ナガサキに派遣してはいかがということでございますが、被爆60周年の小中学生のヒロシマ・ナガサキへの派遣につきましては、日本非核宣言加入自治体協議会の加入自治体の昨年度取り組みを調査したところいくつかの団体で小中学生やその随行となる教員職員の派遣事業を行っている状況でございます。しかしながら費用等の問題もありますので、本町では小学生とその保護者を対象にピースバスツアーを開催しております。日帰りでいける範囲の施設を調査し、現在は都内にあります昭和館を選定しており、この施設は厚生労働省の戦没者遺族の援護施設の一貫として設立したもので、戦中・戦後の生活用品や写真・映像・音楽・図書などが豊富にあり、解説者を同行させながら見たり調べたりしており、子供から若い保護者の方々にとっても平和教育に最適なツアーであることを認識しております。このことからピースバスツアーを継続していくことに努め、ヒロシマ・ナガサキへの派遣については今年度の各町村の状況を再調査した上で検討してまいりたいと考えております。

(黒須)検討だけではなく、ぜひ実現に向けてお願いできればと思います。
 今戦争体験記の話がでましたが、細かく質問通告をしてなかったんですが、現在在庫はあるのでしょうか。この900円という値段は大変高いのではないかと思うんですね。もう一年たった事だし、在庫に関しては格安で販売したらどうか思いますが。また在庫がないというのでしたら大変好評だということですから増刷して格安で販売して欲しいと思いますがいかがでしょうか。

(秘書広報課長)今持ち合わせがないのであとで答えさせていただきます。

(黒須)在庫についてわからないということですが、900円という値段は大変高いとだけ申し上げておきます。