住民基本台帳の大量閲覧と個人情報保護について

黒須 2003年12月、内閣府は個人情報保護に関する世論調査結果を発表しました。その世論調査の中に、他人に知られたくない個人情報を問う質問項目があります。現住所・電話番号については42.9%の人が知られたくないと回答しており、前回調査の1989年の調査では10.9%でした。この結果から、他人に住所や電話番号を知られたくない人が急増していることがわかります。電話番号については電話帳への記載を拒否することもできます。一方現住所は自治体での自治体での住民基本台帳の閲覧を通じて閲覧可能な状態になっており、住民が申し出ても削除したり、閲覧禁止にすることはできません。その理由は住民基本台帳法第11条で定められている仕組みだから、法律を改正しないかぎり削除や禁止ができないわけです。一方で民間企業でも大量の個人情報を含むデータベースを持つ事業者が増えたことから個人情報保護法が制定され、この4月から5000件以上の個人情報を持つ事業者を「個人情報取扱事業者」として規制することができるようになります。このように二つの法制度が矛盾する状態になるわけです。そういう意味では、住民基本台帳法についても改正される方が望ましいと考えておりますが、それについては国政の問題なので、町でもできることがあるのではないか、そういう観点でいくつかご質問したいと思います。
 本町の住民基本台帳の閲覧の手続きを簡単に説明してください。
 また、この間の申請件数、それから誰がどのような目的で閲覧を行っているのかをお尋ねします。

住民課長 お答え申し上げます。閲覧方法ということでございますが、あらかじめ電話予約でやっております。閲覧の日時をあらかじめ電話予約をしていただいて、それにより閲覧者の氏名、住所、連絡、とくに閲覧の目的及び閲覧の範囲を明確にしていただいて、閲覧により知り得た情報は閲覧の目的以外に使用しない旨の誓約書を必ず添付していただくと、そういう形を取っております。
 それから一番多いのはダイレクトメールが多いようです。1月までで97件の回数を数えておりますが、その中でダイレクトメールという形できているものが76件、それからアンケート調査が12件、それから調査目的、その他5件というふうな形でなっております。とくにダイレクトメールの内容からいたしますと、学習塾、教育出版、それから結婚案内、それから呉服販売及びギフト券等のギフト商品の販売を目的としたものが多いようです。以上です。

黒須 ただいまの答弁からわかるようにダイレクトメールが97件中76件だと、ほとんどであるということです。これは、目的がダイレクトメールということで現在の運用上ダイレクトメールはOKだということなわけです。誰がというのは営利事業を行っている者がダイレクトメールを目的に閲覧をしているということがわかったと思います。ダイレクトメールについては、最近のプライバシーの問題で嫌がる住民が大変増えております。(住民基本台帳が)これだけダイレクトメールの情報源になっている。しかも他の目的には使わないと約束するだけです。最近では架空請求の情報源になっているとよく言われております。これだけ個人情報保護が叫ばれているなかで、本来一番住民の個人情報を保護するべき立場にある自治体が大量閲覧を野放しにするということはいかがなものかと思っております。現在の大網白里町の運用について先程説明がありましたが、補足しますと、1件というのは100名単位だそうです。その100名単位の1件の手数料が200円だそうです。だから2件だと200名で400円、3件だと300名で600円、これは今のところ97件だからそういう状態ではないですけれど、やろうと思えば10万円で5万人分、本町全員の住民基本台帳閲覧ができると、たった10万円で。一人2円です。一人2円で名前、住所、年齢、性別の4項目を住民の断りもなく野放しにしている。こういう大量閲覧制度の運用はぜひ改めるべきだと思いますがいかがでしょうか。他の自治体の例などを把握しているかどうか含めてお答えください。

住民課長 確か最近市川市はハードルを上げて、閲覧をなるべくできないように高くしたという情報も入っております。市川市の場合は一人につき150円、いま本町は2円と申しましたが市川の場合は150円。また県内の市町村によっていろいろ閲覧料というのはまちまちであって、これに関しては、今の閲覧料2円というものが非常に安いのではないかというご指摘もございましたので充分県内のものとも精査しながら諮っていきたいと。そしてハードルを上げるとか、そういうふうな形でもっていきたいと考えております。それから今年に入ってプライバシーの保護というものを事故防止のために方法としまして閲覧は必ず一人にしてもらうという方法をとっております。それから月曜日とか金曜日、とくに窓口が混む時には必ず何らかの制限を加えていまして、その日は都合が悪いと言うことでお断りするとか、そういう方法で対応しております。

黒須 前向きなご答弁だったと思います。ぜひハードルを上げていただきたい。これ(手数料)についても、例えば倍にするとしてそれを聞いたらすごいようだけれども、2円が4円になったからといってたいしたことはないわけで、そういうレベルではなくて一人150円というようなレベルに上げることを検討していただきたい。

住民票や戸籍謄本交付時の本人確認の方法について

 関連する質問に移ります。最近も新聞報道等で報道されておりましたが、他人による住民票の書き換えや戸籍謄本や住民票の取得などが行われて、犯罪に利用されることが増えてきました。それで、国は住民票や戸籍謄本などの交付には、免許証などの写真入りの身分証明書で本人確認をするように通達がされているはずです。本町の場合においては申請書に誤記がなければ、普通のハンコを押せば交付される仕組みで、とくに身分証明書等の本人確認がなくても交付されるわけです。とくに戸籍などには多くのプライバシーも載っているわけで、本町でも厳格な本人確認がこれからは必要ではないかと思いますがいかがお考えでしょうか。お答えください。

住民課長 住民票の交付に関しては12条の関係で、どなたでも申請すれば交付というのはできます。しかし住民票の異動というものは厳格にやっております。異動に関しては免許証を提示していただくとか厳密にやってるつもりであります。

黒須 異動については厳密にやっているというお答えだったわけですが、先程申しましたように戸籍謄本などは大変プライバシーも多く、どういう転居をしてきたとか過去どこに住んでいたとか他人に知られたくない情報も多いはずです。住民票の交付に関してもそれが犯罪に使われる例が多くなっているはずです。そういう意味も含めて本人確認をするべきではないかなと私は思います。再度の答弁は結構ですが、また改めて半年後なり一年後にどういう検討が行われたのか調査したいと思います。